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思いついたらメモ。その程度。定期的な更新なんてありえない。
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コーヒーのない四つ星レストラン クレオ・コイル 著/小川敏子 訳 読了
 <ソランジュ>はニューヨークでも
 随一の高級フレンチレストラン。
 料理は、どれも一流の味。そんな
 大評判の店で娘が料理修行すると
 なれば、親ならば誇らしいところ。
 けれど、クレアは素直に喜べない。
 娘ジョイは、料理長と不倫関係に
 あるばかりか、店で次々に起る
 シェフ殺害事件の容疑者にされて
 しまったのだ! 娘を救うため、
 クレアは潜入捜査をすることに。
 美食家も唸る、絶品料理と四つ星
 コーヒーが満載のシリーズ第6弾。


 クと深み名推理シリーズ第6弾です。この作品の前に第2弾を読んでその素晴らしい出来の作品に酔っている勢いのまま読み出しました。冒頭は第2弾と同じ様な犯人の視点で第一の犯行の描写から始まります。否が応でも盛り上がってしまいます。しかし、ここで直前に読んだ第2弾による悪影響がでてしまいました。時系列の混乱です。実は第5弾のラストでクレアの元夫のマテオが腕を骨折するのですが、その事を完全に忘れていたのです。そりゃ第2弾ではマテオは骨折などしていませんから。で、その事を忘れていた為に「なぜマテオはギプスをはめている?」しかもそのギプスを見てクレアが申し訳無さそうにしている。なぜ?という疑問が。慌てて第5弾の最終章を読み返すありさまです。我ながら情けない。まぁ、それほど第2弾にはまってしまったとも言えるのですが。ちゃんと入手できるまで待ってから読むべきであったと今更ながら反省です。

今回は娘ジョイの無謀な行動から生じた(?)事件によって、今までに無く主人公達に危機が迫ってきます。なんだか不自然にバイオレンス要素が大きくなってきている気がします。しかも、この作品の面白さの中核をなしていたコーヒーのレシピが今回は全く無い!作品中盤にコーヒーの試飲のシーンがあるのと、なんだかんだとクレア達がコーヒーやカプチーノを飲むカットが出てくるだけで、今までの様に薀蓄や含蓄のような魅力がありません。なんだか普通のサスペンス物の家族ドラマです。作者が今までの反響を見て作品のテコ入れをしたような感じです。

これは不味い展開です。一部の読者の趣味思考に合わせてテコ入れした作品で面白くなったものはほとんどありません。作者が書きたかった物から大きくはずれてしまい多くの読者が作者に期待しているモノ―作者の個性―が失われてしまうからです。
よく子供向けのヒーロー物のドラマなんかでクール毎にテコ入れしていますが、ほとんどが改悪されていて作品の質や面白さが良くなる事は稀です。

れまでの作品は、ちょっと考えれば作品中盤までに犯人の目星が”読者”には解るように冒頭からヒントがちりばめられています。読者は作品後半に主人公クレアが事件の核心から外れたり近寄ったりする姿や迷走ぶりを楽しむ様になっていますが、今回は少々違います。ちりばめられたヒントを頼りに中盤まで読み進むとこいつが犯人だろうなとアタリが付く人物が出てくるのは同じですが、その人はその後ほぼ舞台から退場してしまい、事件は無関係だったという結果に。なんだか執筆中に作家が心変わりして犯人を変えたか、編集者にアドバイスされて突然変更したような嫌な印象を受けました。
某漫画家の先生がおっしゃっていましたが、アドバイスは受けても良いが、それを実行したらダメ。それを叩き台にしてそれ以上の展開や物語を創作できなければ、アドバイスは無視して、自分が引いた計画やレールの上を走らないと作品は死んでしまうと。まさにそんな感じです。第2弾が面白かっただけに、本当に残念です。

 本人の推理作家の一部には、犯人やトリックを最初から一切考えないで、読者が読むように作品を描いてゆき、自分でも驚くような人を犯人に仕立て上げる。という書き方をされる先生がいます。これは無計画に作品を書いているという意味ではありません。最初からこのようなスタイルで作品を書こうというちゃんとした計画があっての事です。今回のこのクレオ・コイルの作品はそんな印象も少しは受けますが…どちらかというと途中で計画が変わって(ぶち壊されて)、無計画のまま書いたのじゃないかと思ってしまいます。
さらに、あちこちに「ちょっと、これは無理があるのじゃないの?」と思える箇所がいくつかあって作者が苦心しているように思えるところも。いつもはクレアが迷走していますが、今回は作者が迷走している様子です。ちょっと残念な作品でした。

それから、結構この作者って日本に興味があるのかな?と思える所がいくつかでてきます。クレアが給料数ヶ月貯めて娘ジョイにプレゼントしたシェフナイフがそれです。日本の関市で作られた世界最高峰のシェフナイフ(フレンチナイフ)「シェンエリート」だそうです。一応検索してみましたが、同じ名前のナイフセットは見つかりませんでした。特注品という設定なのですかね?
このナイフはパウダースチィールから作られ、人の手によって鍛えられ「機械で研磨した」と表現されています。※機械で研磨?それって大量生産品?材料だけは良いものを使っているけど研ぎ出しはお粗末な二級品じゃないの?って、思うのはおかしいでしょうか?やっぱり研ぎ出しも人間の手で時間をかけて行わないと一級品とは言えないと思うのですが。機械で研磨すると余計な熱とエネルギーが加えられ、製品になる前に金属疲労を起こして本当に良いものはできないのじゃないかな?私の勘違いかもしれませんが。
た、「旨味」という日本特有の表現もでてきます。思い返せば、過去の作品にも日本の事が書かれていましたっけ。たしか、クレアの元夫マテオが進めている計画でキオスクを世界の各地に作るというのがあって、候補地に東京と大阪が含まれていました。たまにだけど、日本人も出てきますし。ただそういう時はちょっとだけ中国人か韓国人と勘違いしているようなちょっとしたニュアンスの違いみたいな表現が入ったりするのが面白いですけどね。

シリーズ物の作品はたくさん有りますが、やはり日本人作家の作品の方が自分には合っているような気がしてきます。クレオ・コイル作品は回を進める毎にハリウッド的進化をして、質が下がって行くようで残念に思えてきます。

≪2562文字:400字詰原稿用紙7枚≫
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

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