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コララインとボタンの魔女 ニール・ゲイマン 著 金原瑞人・中村浩美 訳 読了
コラライン


 大きな古い家に引っ越して
 きた女の子、コラライン。ある
 日、どこにも通じていないは
 ずのドアを開くと、そこには気
 味の悪いほど真っ白な肌をした女の人
 が立っていた。「だれにでもみんな、も
 うひとりのママがいるのよ。コラライン」
  もうひとりのママ?そんな!
  部屋にもどると、本物の両親はあとか
 たもなく消えていた。たよりになるのは
 名なしの黒ネコと、穴のあいた不思議
 な石だけ。コララインは今、さらわれた
 両親をたすけだすために、たったひとり
 でもう一度、あのドアを開く――。
  数々の文学賞を受賞したイギリスの
 天才作家ゲイマンがおくる、傑作ファン
 タジー。


 日鑑賞した映画「コララインとボタンの魔女」(原題「Coraline」)の原作です。著者のニール・ゲイマンはイギリスで1960年生まれ。「サンドマン」というアメコミの原作を書いていますが、自分は全く知りませんでした。調べてみると世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ブラム・ストーカー賞等々の文学賞を受賞している有名な作家さん。さらに調べると、ジブリ作品「もののけ姫」の英語吹替版の脚本を担当されていたり、最近の映画では2007年公開の「ベオウルフ/呪われし勇者」でも脚本を担当されています。
 いろんな賞を貰っている作家さんですが、この2002年に発表された「コララインとボタンの魔女」では2002年イギリスSF協会賞を受賞し。2003年にはヒューゴー賞を中長編小説部門で受賞しています。

 当然の事ながら、原作の内容は映画の内容と「ほぼ」同じです。ですが相違点もいくつかあります。映画では近所の男の子"ワイビー"が出てきてコララインの水先案内的役割をしているのですが、原作には登場しません。また、コララインが引っ越してきた家に関しても少々間取りやなんかが異なっています。それと、コララインの家族達が住んでいるピンクスアパートの屋根裏にいるミスターボビンスキーは、原作では最初「おじいさん」とだけしか表記されていませんし、後半で判明する名前は"ミスターボボ"。それと魔女の表現の仕方(イメージの捉え方?)が違うようです。原作ではクモの様に気味が悪い「魔女」
というイメージですが、映画では魔女の様な「クモ」と表現されているように思えます。
 この様な細かな点が映画と原作の違いです。もっとも大きな違いはラストにありますが、ここでそれを書くのは非常識でしょう。

 画は作品の世界観をカラフルに拡げてあるというのが、原作を読むことで解ります。しかし、コララインの心の変化の描写という点ではやはり原作の方が上と言わざるをえないとおもいました。もともと児童文学なので、解りやすく直接的で優しい文章で描写されているからかも知れませんが。

 各章のタイトルに小さなイラストが挿入されているのですが、章の順番どおりにそのイラストを並べると、パラパラマンガの様になり、とてもかわいい。ドアが開きコララインと黒ネコが出てきてドアを閉めるというだけなのですが、それが物語に合っていて一度読了した後に何度か見返してしまいます。

 映画を見てから原作を読んでも楽しめますし、その逆でも面白い。確実に物語の世界観が広がります。また映画を観たくなってきました。

日本で公開されていますが、映画を作ったアメリカでは2009年に公開されていて、現在ではDVDやブルーレイが既に発売されています。ネットを検索すると、当初では日本の配給会社はコララインに手を付けようとしなかった様です。日本での公開が1年遅れたのもその辺りが理由でしょう。今年になってようやく公開されましたが、上映館数が少ないように思えます。いつもは大野城市にあるワーナーマイカルシネマズに行くのですが、今回はそこでは封切られなかったのでキャナルシティまで行かねばなりませんでした。3Dという事で設備上の問題かなとも思えるのですが、日本の企業にはあまり期待されていない作品なのかもしれません。ツタヤに行っても、原作本が店頭に並べてありませんでしたし。

 今回読んだこの本は図書館から借りてきたもの。しかも図書館の「閉架書庫」に収められていて表に出ていませんでした。そんなに人気が無いのか?と疑問に思いながらも、自分も映画の予告編を見るまで全く知らなかったという事を思い出して苦笑い。日本でこの作品を出版したのは角川書店。この会社の営業力や広報力が小さいということでしょうか?決して小さな出版社では無いとおもうのですが。

ういえばキャラクターグッズもあんまり見かけませんね。海外メーカーからフィギュアが数点出ているようですが、日本の子供達やマニアには受け容れらにくいデザインなのかもしれません。デザインで思い出しましたが、「コララインとボタンの魔女」でアカデミー賞―それも美術賞を―受賞したのは上杉忠弘先生。もちろん日本人です。コララインでの上杉先生の役割はコンセプト・アート。主人公コララインを始めキャラクターや建物を具体的なビジュアルにされたのです。このイラスト郡を元にしてヘンリー・セリック監督が映像世界のイマジネーションを膨らませたということ。
日本人がアカデミー賞を受賞したってニュースも、ネットを検索してみるまで知らなかった情報です。なんだか嫌な大人の事情が垣間見えてきそうです。
日本人が元となる絵をデザインしているとは言え、アニメ絵じゃないし、萌えキャラ体系でも無いのでやっぱり受け容れられないのだろうなぁと解釈。もっとも変に騒がれて作品が歪められるのは嫌なので、それが無いだけ良かったのかもしれません。

昔、「ナイトメア。ビフォア・クリスマス」にはまった私は、その後のブームで意気消沈しました。作品を観た事も無い人が乱発された商品のコレクションをしはじめ、フィギュアメーカー主導のブームになってしまったように感じ冷めてしまったのです。

「ナイトメア」はマスコミや企業によって、似ているけど「別の商品/もう一つの作品」に仕立てあげられてしまい、作品に対する自分の価値を落としてしまった。「コラライン」は、そうならない様な気がする。その代わり多くの作品の中に埋もれてしまいそう。まるで古井戸の中に落ちてしまうように。それで良いと思う。自分の心の中にはちゃんと本物が記憶されているから。

「誰かにきいた話だが、鉱山の穴底から空を見あげると、たとえ明るい昼間でも、夜空と星がみえるらしい」
           ――コララインとボタンの魔女より――

≪2685文字:400字詰原稿用紙7枚≫
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

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