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エスプレッソと不機嫌な花嫁 クレア・コイル 著/小川敏子 訳 読了
 新進気鋭パティシエによる豪華ス
 イーツに、幻の豆を使った究極の
 エスプレッソ―ー―夢のような絶
 品に彩られた豪華結婚式がメトロ
 ポリタン美術館で開かれることに
 なった。でも、その手伝いをする
 クレアは気が気ではなかった。な
 にしろ式の主役は元夫(!)。しか
 も本番直前になって、新婦が何者
 かに命を狙われている様子で……!?
 スイーツと警官に取りかこまれた
 前代未聞の結婚式が迎える大波乱
 の結末とは。好評シリーズ第7弾


 当は鮎川哲也先生の作品が読みたかったのですが、昨年末にクレア・コイル著のこのシリーズが発売されていた事を思い出し、一冊だけ読み残しておくのもなんだなぁと思い立って読み始めました。毎度毎度言っている事ですが、わたしはこのシリーズに付けられた「コクと深みの名推理」というシリーズ名を良く思っていません。全く内容にそぐわないと思うからです。このシリーズの最大の魅力であったコーヒーに関する知識や薀蓄は作品を重ねるごとに希薄になっています。レシピの紹介こそ減ってはいませんが、コーヒーに関しては皆無となっています。この7番目の作品で著者は、いつ如何なる時にもコーヒーを愛してやまないはずの主人公に、コーヒーにうんざりしたようなセリフを言わせたりしています。著者であるクレオ・コイルさん達はこのシリーズに嫌気がさしている?と勘ぐってしまいそうです。
 物語の方は、いつもの通りなのですが…今作はページ数が約600P。2冊分のボリュームです。読む前にコレだけでちょっと嫌気がさしてしまったのは事実です。それでも読み始めると、一気に読み進んでしまうのは、やはり著者の文書作成能力が優れているからでしょう。この点は不思議なのですよね。明らかに退屈な流れでテンポも決して良く無いシーンなのに、立て板に水を流すようにサクっと、読めてしまう。600ページの作品を2日で読了してしまいましたよ。たしかにページ数は多いけれど、それを全く感じません。なんだかいつもと同じボリュームにしか感じないのです。この点に関しては頭が下がります。

 このシリーズの魅力は以前書いたように、コーヒーの薀蓄や知識。今回、あったのは1つだけ。それも決して新鮮な情報では無く、すでに知っている事。「ネコのウンチ・コーヒー」※猫じゃなくて、小動物なのですけどね。これは割と有名でコーヒー好きな人はみんな知っている事。それを自慢げに読まされても…って感じでした。
 魅力のメインを失った今作。他の推理小説の様な「読者に推理させる楽しみ」が無いシリーズなので、楽しむ点を探して読む事になります。いつも通りのクレアがする「迷」推理や暴走、勘違いの成り行きをコメディとして楽しむか、作者の類稀な優れた文章と、翻訳者の文章力の差を見つけて楽しむ事くらいかな。

―――ネタバレ(?)含みます―――
件の謎を楽しもうとすると、腹が立つだけなので、成り行きを読みすごす方が良いとおもいます。
例えばA~Fの登場人物がいて、Aが殺害され、ちょっとした事でBが怪しいとクレアが疑い始め捜査が始まります。Bを調べているとCも怪しくなってきて、こちらも捜査対象に。Cを追い詰めようとするとBもCも殺害されてしまいます。そこでDを疑い始めると謎の人物がクレアを襲います。そこをEが助けます。とくにEは親切でクレアに印象強く残ります。そうしている内にDが別件で逮捕されクレアは安心します。すると再び事件が発生。再度調べるとEが犯人像(プロファイル?)と一致すると判断し、クイン刑事に逮捕してもらう様に頼みます。証拠が無いので現行犯逮捕を狙います。そしていざ逮捕しようという時になって、それまで何の音沙汰も無かったFが、犯人だったというオチ。
Fの出番は途中顔を出す程度で、ほとんど捜査もされず、作者も描写をしません。作品によっては、軽く会話の中で名前がチラっと、出てくる程度だったりします。最後の最後になって、「F」のプロファイルが「E」のプロファイルと一致すると、犯人だと疑っている「E」から聞いて、クレアは何の疑いも持たずに信じて「F」が犯人だと断定します。コレまでの捜査は何だったの?って、感じです。物語上も「F」が真犯人って事で解決。

 推理小説では、犯人は物語の最初から登場していて、他の人間と同じ様にきちんと描写するのが基本です。また、決定的な証拠を後から出すのは基本的に禁則事項です、そうでなければ読者はまともに推理できず、読了後の満足感を味会う事は不可能だからです。
そういった「お約束」がこのシリーズにはありません。だからこそ、楽しむ点を自分で見つけなきゃいけない作品となってしまっていると思う次第です。
 以前、楽しむ点の一つに「家族の問題」「ホームドラマ」の要素もあげましたが、今作ではそれも失われた感があります。クレアが新しい恋人を見つけ、元夫も花嫁を見つけ、娘も独立。唯一、マダムだけがクレアと自分の息子を再びくっつけようとしているのが、ドラマ性があって面白そうだったのですが、今作の最後で「息子は花嫁を愛しているのですもの」と、そのドラマに終止符を打ってしまいます。
「コクと深みの名探偵」シリーズは、もうこれで終わりと言わんばかりです。

 かしながら、著者のサイト http://www.coffeehousemystery.com/ をのぞいて見ると、すでに次回作「Holiday Grind(休日の辛い仕事)」は既に発表されていて、翻訳を待っている状態みたいです。そして9作目も執筆中とか。正直な所、このシリーズには飽きてしまっているのですが、7作目にこのシリーズのほとんどの魅力を捨て去った後の作品には興味を感じます。いい加減な推理ドラマ小説から、もう少しマシな推理小説のなるのか、それとも一度捨てた魅力を拾ってきて、もう一度仕切りなおすのか、新たな魅力を見出したのか気になります。
 私の稚拙な英語力で「Holiday Grind」の謳い文句を読んでみると、コーヒーに関しての薀蓄が復活しているようにも見受けられます。翻訳されて、発売されたら、なんだかんだ言いながらも買って読むのだろうなと思います。

 面白くないシリーズだけど、面白くなるという期待は全く薄くならず、むしろダブルエスプレッソの様に濃くなっているような気がします。不思議なり

≪2634文字:400字詰原稿用紙7枚≫
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

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