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思いついたらメモ。その程度。定期的な更新なんてありえない。
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探偵になりたい パーネル・ホール 著 田村義進 訳 読了
 まともにとりあう気はなかった。
 人殺しがしたいので手伝ってくれ
 などという依頼は聞いたことがな
 い。わたしは断わった。探偵とは
 名ばかりで、わたしは事故専門の
 調査員なのだ。が、その依頼人が
 翌朝死体となって見つかった。人
 間にはできることとできないこと
 がある。わたしにはできないこと
 かもしれないが、探偵のまねごと
 をやってみる気になりだした……
 なにごとにも控えめな探偵の危な
 い活躍を描く新シリーズ代1弾!


 しぶりに遠方の古本屋へ足をのばした。遠方のと言っても所詮、ブックオフですけど。どこにでもある古本屋だけど、置いてある在庫が、どの店の在庫と同じとは限らない。それがチェーンテンであっても古本屋の魅力だと思う。新刊書店の棚には、どこでも同じ様なタイトルの書籍が並んでいるし、平積みされている雑誌や新刊はほぼ全く同じで、新鮮味は感じない。お気に入りの作家さんの新刊でもなければまず見て回る事は無い。とは言え、こういった考えは偏見でしかないのだけれど。本当は古本より新刊の方がいいに決まっている。
 このような捻くれた考えに至ったには理由がある。「品揃え」の問題がそうだ。本屋に限らずどこの店舗でも在庫は持ちたくない。回転率の良い商品なら別だけど、一月に一個、一冊しか売れないような商品は早々に棚から外してしまいたい。と思っているが当たり前。これは経営者なら誰でも思っている事。でも売上を作りたいなら、在庫を減らすのは間違い。消費者は売れている物と売れていない物を比べて売れている物を買う傾向がある。売れ筋商品しか置いていない店の売上や利益は落ちていく一方になる。
 読みたい本を探すなら、現状の環境下では絶対に古本屋を巡った方が良いと思う。ネットで検索する手段もあるが、私はあまり好きでは無い。出版社のサイトは新刊ばかり宣伝している。ブログでは宣伝に載せられて購入した本の感想を書いている人がヒットする。アフェリエイトとかをやっているブログは特にそうだ。そんなサイトやブログが検索にヒットしても、本との出合いという点でみれば、新刊書店と何の変わりも無いと思うのだが。
 たしかに古本屋で買っても著者に印税を支払う事が出来ないというデメリットがあるのだけど。お気に入りの一冊を古本屋で見つけて、綺麗で新鮮な紙と糊、インクの香りがする刷り卸しの本が欲しい時には、本のISBNコードを控えて新刊書店で注文したりする。手間はかかるが、その方が良い。そうした手間は、新たな出会いの記憶として頭に残る。本との出合いは他人との出会い同様に貴重で大切な経験だと思うから。

 回読んだ本は太宰府のブックオフで見つけた。日本人作家の推理物か何かを探しに行ったのだが、目ぼしい作品を見つける事は出来ずに、仕方なく外国人作家の棚を眺めにいった。そこでふと探偵小説を読んでみたいなと思ってしまった。私がいう所の探偵物というのは、推理小説でもミステリ小説でも無い。探偵を生業としている人間の人生の一部を書き綴った作品の事だ。でも、そんな作品はなかなか出会えない。探偵が出てくるだけの推理物であったり、探偵が出てくるだけのサスペンスだったり、まるでスーパーマンの様な探偵が主人公だったりするのがほとんど。そういう作品も面白いし好きだけど、今はそんな気分ではない。
 ふと目にとまった本がこれだった。「探偵になりたい」…変なタイトルだが、探偵になりたいと思っている人間のドラマだと思わせるタイトルだった。いまの気分にピッタリの作品かもと思って手に取る。果たしてその通りだった。
 久しぶりに良書に出会えた気がする。面白い。著者はパーネル・ホール。この作品が処女作だと訳者あとがきに書いてあったが、信じがたいほど面白い。退屈でダラダラと続くようなお決まりの人物紹介も無い。ちょっと疑問に思う箇所もあるが―この主人公は、主人公をドラマや映画に出てくるような探偵だと勘違いしてやってきた依頼人を、お門違いだといって門前払いをする。その依頼人が翌朝殺された事を気にして、本業の合間に探偵の仕事をするが、面識が無い死んだ依頼人の事を急に「友」とか言い出す。なぜそう思えるのか不思議だ―
 でも、そんな事はどうでもよくなるほど面白い。主人公の心理描写や思考を緻密に描いている文章が秀逸。
セリフや主人公の性格から、なんとなくジム・キャリーっぽいなと思った。一度そう思うと主人公のイメージは、もうジム・キャリーにしか思えなくなってしまった。※どんな主人公?と、尋ねられたら「ジム・キャリーっぽい」と言えば他人に通じるかもと思う。
 この主人公の魅力はカッコ悪い事。そのかっこ悪いことが、物凄くカッコイイのだ。金も無い、銃も撃てない、度胸もないまるで普通のサラリーマン。そんな主人公が一生懸命に無い知恵を絞ってあくせく頑張っているのが頼もしい。なんだろう、こういうカッコ良さって…と考えていたら、スターウォーズのEP4~EP6のメカ類を思い出した。スターウォーズは好きなのだが、ストーリーは面白いとは思えない。自分にとってスターウォーズの魅力はメカのカッコ良さだけだった。それまでのメカのカッコ良さというのはピカピカしていて尖ってって、ツノが付いているものだった。しかし、スターウォーズのメカは、アチコチ穴が空いていて中身が露出していて汚い。形も変だ。ミレニアム・ファルコンなんて肥溜めの蓋かと思った。が、ソレがカッコイイ。これらのカッコ良さは、どのように使われてきてどのような事をしてきたかという履歴を想像させる。多分、コレまでにイロイロあったのだろうけど、今も現役で頑張ってるんだと思わせる所にあると思う。一生懸命に頑張ってきたんだ、これからも頑張るんだ。だから見かけに拘っている時間なんて無いんだって言ってるように思う。「汗かいて、汚れまくりながら、一生懸命に誰かの為に働いている」カッコ良さ。それがこの作品の主人公に滲み出ている様に思える。
最後の最後まで悩みながら行動をし、考えている事と逆の事をする主人公。こんなに人間臭くてカッコ良いキャラクターを応援したくなるのは当然。当然だが、なんとなく2作目に手を出すのは気が引ける。ひょっとしたら駄作で今の心地良さが裏切られるかもしれないと不安になるからだ。

≪2608文字:400字詰原稿用紙7枚≫
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

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