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思いついたらメモ。その程度。定期的な更新なんてありえない。
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このペン貸します ローラ・バイン 著/石塚あおい 訳 読了
このペン貸します

 ビバリーヒルズに住むジェイ
 ン・オースティンは36歳のフ
 リーライター。離婚したばか
 りで、年中腹ペコな猫のプロ
 ザックと暮らしている。もて
 ない男のラブレターを代筆し
 たばかりに殺人事件に巻き込
 まれた。逮捕された彼の無実
 を信じる彼女は、本業そっち
 のけで真犯人探しを始める。
 スリルたっぷりの事件捜査、
 ロマンスも成就するかに見え
 たのだが…。ユーモア・ミス
 テリーの傑作登場!!


 パーネル・ホールの次作を読もうと思ったが、少し気分を変えようと思って、久しぶりにブックオフに行った。いつものブックオフでは無く、西区の方にまで足を伸ばしてみた。近所のブックオフでも変わりないかもしれないが、何よりも気分転換したかったからというのが理由だ。
外国人作家の棚を物色しながら、女性が主人公のミステリを探す。先月読んだ、クレオ・コイルの「コクと深みの名推理シリーズ」も女性が主人公であったが、もう少し頭が悪くて楽天的なイメージの主人公が右往左往するような作品が読みたくなった。※なんとなく、パーネル・ホールの作品の主人公スタンリー・ヘイスティングっぽいイメージだが、彼は好きで探偵業をやっているのでは無い。
店内をクルクルと回りながら、ピンクの背表紙の文庫を見つけた。タイトルは「このペン貸します」表紙のイラストはメッキされた「万年筆を持った招き猫」だ。万年筆好きな僕は、手にとって裏表紙の粗筋を読んだ。まさに読みたいと思っていた作品内容!
すぐに購入し、駐車場に戻って愛車のホンダ「ダンク」の中で冒頭の3章を読んだ。

 僕が活字ばかりの小説作品に興味を持って読み出したのは高校に入ってから。SFマガジンか何かで、新井素子という新人作家の作品の紹介を読んだのがきっかけだった。新井素子先生の処女作をハードカバーで買い、そして読んだ。現国の教科書より厚い本を、たった2日で読了した自分が信じられなかった。作品が面白かったので集中できたせいなのだが、新井先生の文体が自分に合っていた事が大きいと思う。最初から最後まで一人称で書かれていて、物語は主人公の視点で描かれ進む。それがもの凄く新鮮だった。
 「このペン貸します」を読んでみて、新井素子作品を思い起こした。この作品も全編一人称で書かれている。もっとも、探偵物の多くは一人称で書かれた作品が多いのだが、ローラ・レバインの作品は、その主人公が読者に話しかけてくる。自分でボケて、すぐに読者に謝り訂正をする。それが何度も続く。うざったいくらいに。主人公が読者に、まるで猫の様に擦り寄ってくる様な感じ。頭は決して良くは無く、欲望にも弱い。この作品の主人公ジェインの本職は代筆業。探偵は業務ではなく好奇心で、いつのまにかやっている。
 この主人公ジェインの特徴は「嘘吐き」だ。しかも、すぐにばれてしまう様な嘘。「嘘」で身分を謀り、聞き込みをし、情報を得ている。それを吟味したり、組立てたりして推理をしていく。でも、そんな調査なんかより、普通に友人のキャンディと遊んでいるほうが、調査の役に立っているような気がする。
著者が描きたかったのは、裕福な人達が住んでいるビバリーヒルズの裏に住んでいる、決して裕福でない普通のバツイチの女性なのだろうなと思う。普通…じゃないかもしれない。行動的で、食欲旺盛で、見栄っ張りで、自分に甘い女性。それらの要素は全て彼女が生きていく為の手段であり武器であり日常だと描いているように思う。
…そうなんだ。彼女の「嘘」がキーワードなんだ。今、気が付いた。作品中で彼女は読者に語りかけてくるけれど、どれも「ごめんなさい。実は○○○です。」「正直にいいます。実は○○○です」という風に、弁解している。読者には「嘘」を自分からバラしている。
主人公ジェインにとって、「嘘」はアクセサリーであり、武器であり、防御の為の盾であり、道具なのだ。それと、彼女の仕事でもある。※彼女の仕事は代筆業だけど、広告のコピーを書いたりしている。彼女自身はそのコピーを疎んじている。それは企業が宣伝と言う目的の為に彼女に「嘘(?)」の言葉を書かせているからだ。
 仕事だけでなく彼女は自分にも「嘘」をつく事で、なんとか生きている。離婚した夫の事やなんかだ。「嘘」で「辛い真実」を覆い隠しているから生きていけるんだ。
その彼女が、事件に関っていくのは、「誰かによって隠された真実」を暴くためで、彼女の生活とは矛盾する。でも、その行為は自分の今の生活を改善したいという気持ちから生じた物ではないだろうか。作品自体はコメディタッチで全編描かれているけれど、その実はヒューマンドラマでもあるじゃないかなと思う。だとすれば、ラストで彼女は少し成長していなければいけないけれど…著者はこの作品をシリーズ化したいみたいで、彼女は成長せずに終わる。そこが残念でもあるし、楽しみが先送りになったという気もする。
そういえば、ラストでジェインとキャンディが「私立探偵になるための講座」に申し込みをする。こりゃ、絶対に続くなぁと思った。
次回作が楽しみ。
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

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