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思いついたらメモ。その程度。定期的な更新なんてありえない。
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俳優は楽じゃない パーネル・ホール 著/田中一江 訳 読了
actor
 役をもらった! 演出家をしてい
 る昔の演劇仲間に頼まれ、急死し
 た役者の代役を務めることになっ
 た。が、初日直前、偏屈な舞台監
 督が他殺体となって発見された。
 しかも警察は、よそ者のわたしに
 疑いの目を向ける。なんとしても
 犯人を見つけだすため、わたしは
 劇団内の人間関係を探るが……晴
 れ舞台に向けて、控えめ探偵が涙
 ぐましい奮闘ぶりを見せる第八作


 前作「撃たれるといたい」から数ヵ月後の話。作品の発表自体は前作の1年後だったから、作品発表直後の読者の反応が気になる。
シリーズ物でのタイムラグというのは結構ある事だけど――現実の時間と作品内の時間経過は異なって当たり前なのだが――今回の「俳優は楽じゃない」に関しては、僕は気になってしまう。幸運にも最近になってパーネル・ホールの作品を読み始めた訳だから作品と作品の間の時間――現実時間と作品内時間の差――に抵抗は無かったけれど、リアルタイムで読まれていた方々は、気をもんだのじゃないかなと、同情してしまう。まぁ、余計な心配なのだけれども。
と、いうのも前作でやっと自分の仕事に自身を持った主人公スタンリー・ヘイスティングは一発の銃弾で、やっと築いた自信をも打ち砕かれてしまう。前作後半でなんとか、事件解決とともに、その逆境を克服したかの様に思わせるが、決して「失った自信を取戻して」終わった訳じゃなかった。それが、とても気になっていたからだ。充分に克服できていない主人公スタンリー。今回の作品が完成するまで著者の苦悩はどういうものだったろうかと思う。それとも既に設計図は出来ていて難なく書き上げたのだろうか?気になる所だ。
 今回スタンリーは役を貰う。彼は20年前には役者だった。演じる場所も地元ニューヨークではなく、遠く離れたコネチカットだし、気分転換には持ってこいだと思える。急な代役と言う事もあって、芝居以外の事を考える余裕も無くなって理想的だと思えた。ところが…やっぱり殺人事件が起こる。そういうシリーズなのだから仕方ないけれど。この変の筋書きは、「陪審員はつらい」と同じ様なパターンで進む。殺人が起こり、スタンリーが第一発見者になってしまう所も同じだし、殺人が起こったからと言って演劇は中止になったりしない。裁判の時も当然中止にならなかった。ただ違うのは「陪審員はつらい」の時ほど疑いを待たれていないばかりか、地元警察は最初から探偵であるスタンリーに協力して欲しい様な感じで好意的ですらある。さら異なるのは、スタンリーが事件にあまり感心を持っていないという所。「陪審員はつらい」だけでなくそれ以前の作品でも、スタンリーが事件の調査を始めるのは被害者に対して何らかの人情を抱いていたからだった。今回は、そんなものは無い。そういったパーネル・ホールによるスタンリーの描写は、彼がまだ「撃たれると痛い」での一件を引きずっている事を表現している。著者はスタンリーに「役者」という役割を与える事で、立ち直って欲しいいんだろうなと思ってしまう。
実際、スタンリーが積極的に事件に関っていくきっかけは、地元警察署長がスタンリーの初日公演での演技を正確に評価したからだった。地元の新聞ですらしなかった評価を。
 僕が失敗した事が一つある。1982年公開のアメリカ、コメディ映画「トッツィー」(主演:ダスティン・ホフマン)をもう一度、この作品を読む前に観ておくべきだったと後悔した。観た事はあるのだが、それは大学時代であり大昔だ。しかもLDも買っていない。レンタル屋に行って借りてくれば良かった。理由は「俳優は楽じゃない」を最後まで読めばわかる。再読する前には、必ず観ておくべきだと自分に言い聞かせる。
今回の作品は、スタンリーの「気分転換」が目的であり最大のテーマ。「陪審員はつらい」で探偵として自信を掴んだパターンを執筆の柱としているパーネルの心配り(?)が読者である僕にも嬉しかった。正直、事件の事なんか今作ではどうでも良い事。スタンリーが完全に立ち直らなくても、次に進める程度の気分転換が出来れば大成功という作品になっている。正直、推理小説やミステリーとしては、全く面白くない。というか、そういうジャンルにすら入れたくない作品でもある。シリーズ物だから、許されているに過ぎない。いつもの僕なら、きっと酷評しただろう。でも、そんな事は気にならなくさせる程にテーマがはっきりとしていて、しかも面白い。シリーズの中で順位を付けるとすれば、決して上位にはこないだろうけど、愛すべき作品だと思う。地元を離れている事もあって、スタンリー以外もいつものメンバーはほとんど出てこない。いつものユーモアミステリー作品と思うと内容はとても薄い作品だけれど、シリーズ物としては避けちゃいけない回になっている。スタンリーのボヤキもいつもより少ないしね。
悪い言い方をすればコテ入れとも取れるけれど。ますますスタンリーが好きになったよ。
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

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